羽田圭介に執筆依頼!本格ふぐ料理、“読む食レポ”

2016.01.28

『スクラップ・アンド・ビルド』で芥川賞を受賞した、羽田圭介。注目を集めている彼に、“読む食レポ”の執筆を依頼した!



羽田圭介

「多様性というおいしさ」 文:羽田圭介

前日、仕事で北海道へ行っていて、ろくなものを食べていなかった。夕方までにやらなければならない仕事があり調理パンを一切れ食べた程度で、そのまま羽田空港から新千歳空港へ向かった。

夜八時半過ぎ、用意されていたハイヤーに乗り札幌の放送局へ。弁当が用意されているだろうとあてにしていたが、それも外れた。地方の深夜番組で予算がないからあたりまえである。外気は氷点下五度とかで、軽装で来た自分は本番が始まるまでにコンビニへ弁当を買いに行く気にもなれず、空腹のまま深夜の生放送に挑んだ。終了後、出待ちの女性からいただいた焼き菓子の詰め合わせと、コンビニで買ったカップラーメンをホテルで食べ、午前三時に寝た。

翌朝ホテルのバイキング形式の朝食で、和食や洋食を食べ過ぎ、東京に戻ってから二件の仕事をこなす間にチェーン店で餃子定食を食べた。小麦粉を油で炒めただけのような餃子はひどいものだった。

と、仕事漬けだった二日間の最後、夜八時に、今回の店へうかがった。ひどい空腹とそれを埋めるための満腹の波で、胃は疲弊していたし、眠気や疲労もひどく、来店した時点で食欲はあまりなかった。

ビールとシャンペンを飲みぼうっとしていると、ふぐ刺しが出された。歯ごたえがタコに似ている、と思った。しかし二枚三枚と口に運ぶうちに、それを否定した。昔、ふぐ刺を食べたような記憶はあるが、そのときと歯ごたえが全然違う。厚切りなのだ。そして厚切りにされたふぐは、魚ならざる強い歯ごたえを生む。タコやイカほどにはかたくなく、歯ごたえの印象が際だちすぎず、舌先が魚のうまみをちゃんと感じられる余裕がある。





羽田圭介の文学を楽しむなら…

スクラップ・アンド・ビルド
文藝春秋

羽田圭介 著

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PROFILE

羽田圭介
はだ・けいすけ


1985年10月19日生まれ。東京都出身。
2003年、『黒冷水』で第40回文藝賞を受賞し、作家デビュー。2015年、『スクラップ・アンド・ビルド』で第153回芥川賞を受賞。『不思議の国の男子』『走ル』『ミート・ザ・ビート』『御不浄バトル』『メタモルフォシス』など、著書多数。

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