宮藤官九郎が語る、最近遭遇した“ちょっとした地獄”|後編

2016.06.23

監督4作目にして得た手応えや海外の観客の反応などを聞いた、宮藤官九郎監督インタビュー後編。

動画では本作の舞台の「地獄」にちなんで最近あった地獄の出来事や、本作を通じて考えた「死ぬ」ということについて語ってくれた。



宮藤官九郎インタビュー

宮藤官九郎監督最新作『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の舞台となるのは、誰も行ったことがない地獄。「CGを使わず、映画を観ている人が地獄に閉じ込められた感覚になるようなセットで撮影したい」という宮藤監督の要望のもと、地獄のシーンの撮影は、すべてひとつのセットの中で美術を作り替えながら撮影された。

TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ

──歌舞伎や伝統芸能などの文献をヒントにした本格的な地獄のセットは迫力がありました。グリーンバックでの撮影と違って、セットを組んだことで良かったことは?


今回は地獄のセットを組んでしまった方が、自分の撮影の仕方として楽だと思いました。背景をCGにしちゃうとカメラをあまり動かせないから、短いカットのつなぎ合わせになってしまうんですけど、セットでの撮影だったのでカメラをいくらでも動かせた。役者さんの芝居を切らずに撮れたのは良かったです。そうすると役者さんの感情が途切れないので、その時しか生まれない空気が捕らえやすかったですね。


TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ

──そのセットのおかげもあって、まるで舞台を観ているようでした。


そうですね。普段、僕は舞台をやっていて、舞台からキャリアを始めていますから、そういう意味では舞台っぽい演技や演出は本来得意なはずなんです。いつか映画で舞台っぽい演出をやりたいと思っていました。それは今の日本映画の中では珍しいだろうなと思っていて。4作目でやっとそういうチャレンジをやってみようかなと思って、地獄をセットにしたらうまくハマりました!

──これまで色々な作品でタッグを組んでいる長瀬智也さんですが、撮影現場での細かい演出や演技指導、アドリブはどうだったのですか?


現場に入る前のメイクや衣裳合わせ、ギターを作る作業とか、長瀬くんに全て立ち会ってもらったんですよね。その都度、意見も取り入れて、その過程で長瀬くん演じるキラーKはどういうキャラクターなのかっていうのを意識確認していました。だから、現場に入った時にはズレもなかったし、細かいアドリブは自在に出て来ました。

現場でテストをしていく段階で、役者さんがやりづらそうだなとか、隙間があるなとか、こうしたらもっと膨らむんじゃないかなというのを足していって、シーンを作り上げてからカメラを回しました。映像の場合、生まれる空気感は1回しかないので、その1回をなるべく本番に良い形で持っていこうとしていましたね。

TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ

──本作は、ロッテルダム国際映画祭のVOICES部門や香港国際映画祭の「I See it My Way」部門になどの海外上映会に招待されていますが、その手応えは?


僕も含めて、日本人は〝わかる〟〝わからない〟を気にするので、映画館でも場の空気に敏感に反応しながら映画を観てると思うんです。

でもロッテルダム国際映画祭で上映した時は、オランダ人は言葉が違うからたぶん半分くらいしかわかっていないと思うんですけど、爆笑するんですよね。ずっと笑いが失速しないまま最後までお客さんが喜んでくれて、こんなにストレートに反応してくれたら気持ちいいなと思いましたね。

ちょっとシュールな表現に対して海外の方が抵抗ないですね。日本人なら、公の場でこれで笑ったら周りにどう思われるのかなって考えて笑わないようなところも、オランダの人は爆笑だったので(笑)。意外と言葉が通じない国の方がいいのかもなってちょっと思いました。オランダのお客さんを日本の映画館に混ぜたいくらいですね(笑)。

TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ

──4作目の監督作品で意識してチャレンジしたことはありますか?


やはり地獄をセットにしたことですね。そのなかで、いつも一緒にやっている長瀬くんや初めて仕事をする人がいて、そこで僕は何をどうやればいいんだろうっていうのを考えていました。そのキャラクターをその都度一緒に考えていくっていうのが舞台っぽいなっていう感じですよね。

だから4本撮ってやっと自分がいつもやっている“舞台”から“映画”に来たんだということを、あまり恥ずかしく感じることもなくやれるようになったのかなと思います。今まで映画っていう世界の中で自分のカラーというのを出していたんだけど、なんかその度に違うかなという感覚があってわからなかったけど、やっと形にできたかなと思います。

<映画情報>

『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
6月25日(土)全国ロードショー
http://tooyoungtodie.jp/

取材・テキスト:國方麻紀

★宮藤官九郎インタビュー前編はコチラ

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PROFILE

宮藤官九郎(くどうかんくろう)

脚本家、監督、俳優、ミュージシャン。1970年7月19日、宮城県生まれ。91年より大人計画に参加。ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(00/TBS)で脚本家として脚光を浴びる。映画『GO』(01/行定勲監督)で第25回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、ドラマ「木更津キャッツアイ」(02/TBS)で平成14年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、舞台「鈍獣」(04)で第49回岸田國士戯曲賞など、多数受賞。その他主な脚本作品に、『舞妓Haaaan!!!』(07)、『謝罪の王様』(13)、『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』(14)、「うぬぼれ刑事」(10/TBS)、「11人もいる!」(11/EX)、「あまちゃん」(13/NHK)、「ごめんね青春!」(14/TBS)、「ゆとりですがなにか」(16/NTV)など。俳優としても活躍する一方、パンクコントバンド「グループ魂」ではギターを担当。『真夜中の弥次さん喜多さん』(05)で映画監督デビューし、2005年度新藤兼人賞金賞受賞。今作は『少年メリケンサック』(09)『中学生円山』(13)に続く4作目の監督作品となる。

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